面白本(マフィアの世界)
部屋を掃除してて、大変だったのが「本」
自分は子供の頃から本が好きで、本屋巡りが大好きで。
ちょっとでも面白そうなのが有ればバンバン買ってしまいます…
そのせいで整理が大変です。
で、掃除してたらちょっと面白い本を再発見したのでご紹介
その名も…
「マフィアの世界」
はい、もう「中二病」全開です。ていうか表紙に「中二病必携‼︎」とか書かれてます^^;
表紙(及び一部挿絵)はブラック・ラグーンの広江礼威氏。結構気合い入ってます
コレ系の本は内容が薄っぺらかったりするのですが。広江礼威氏が関わるだけあって結構中身しっかりしてます
この本は「マフィアの世界」という題名ですが
正確に言うなら「ギャングの世界」と言うべき内容です。
なぜなら「マフィア」とは「ギャング」の中の1つだからです。
昨今ではマフィア=ギャングの意味で使われる事が多いですが
正確にはマフィアとはイタリアのシチリア島に起源や所縁のある人たちの集まりによるギャングの事を言います。
映画ゴッド・ファーザーでその名を轟かせた「マフィア」ですが、ゴッド・ファーザーに出てくるギャング達は全てシチリアに縁のある者達です。
日本人からするとアメリカのギャングは全部一緒だと思いますが
「人種のるつぼ」アメリカでは様々なルーツを持つ人々がおり、それらの人達のコミュニティが今も強固に残っており
「ギャング」の世界においてもその「ルーツ」によって、同じ「ギャング」と言っても
いわゆるシノギやスタイル、掟や文化
それぞれ成り立ちなども全く違います
例えばレオナルド・ディカプリオ主演の映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」はアイルランド移民系のギャングの物語で
同じアメリカのギャング映画でも「ゴッド・ファーザー」とはかなり毛色が違います(その為か主題歌はアイルランドのビッグバンド、U2による壮大なバラードです)
もちろん、監督脚本や俳優、製作年の違いはありますが、それらを差し引いても一絡げにして「アメリカのギャング映画」だと考えて、前提知識無しに観ると強烈な違和感があります
それは当然といえば当然で例えば日本のヤクザ映画でも「仁義なき闘い」と「昭和任侠伝」では同じ国のヤクザ映画として全く違います
また前置きが長くなりましたが、いわゆる「アウトロー」を題材とした作品を観るにしても
前提知識としてそう言ったものを知っておく必要があります
例えばイタリアのギャングは上記のようにシチリアをルーツとする「マフィア」の他に「カモッラ」と「ヌドランゲタ」という全く違うギャング組織があります
日本のヤクザでいうと「博徒」と「テキ屋」と「広域暴力団」の様な違いがあるのです
で、この本はそれら世界中の「ギャング」をわかりやすい挿絵と解説でエンタメ作品を読む上では必須の知識を上手くまとめた本だと思います
この本を読むと、今まで気がつかず読んでいた作品などの裏にある隠れた設定や、それらに対して作者がちゃんと正確に調べてあるのかなどが解ってきます
例えば最近アニメ化されたこの世の至宝的作品である「ジョジョの奇妙な冒険 第5部」は
イタリア、ネアポリスの少年ジョルノ・ジョバァーナが自らの夢の為に「ギャングスターになる」お話な訳ですが
第5部で主人公達が所属するギャング集団は一貫して「組織」と呼ばれています。
第5部はイタリアのギャングの世界の話ですが「マフィア」という単語は一切出てきません
これは上記のとおり、主人公達の所属する「組織」は「ネアポリスのギャング集団」だからなのです。
つまりジョルノ達の「組織」とは「カモッラ」であると推察されます
自分はジョジョの第5部はそれこそ連載当時から読んでいて、ものすごいフリークなのですが
これには最近まで気付いてませんでした
まぁ、こういうテーマはこのご時世、あまり大っぴらに書く様なものではないのかも知れませんが
人間社会には「表と裏」があり、平和な日本で一般人として暮らしていると死ぬまで気付かない事もあるわけですが
古今東西、人間の営みにおいては全て「表と裏」があり。
「表と裏」は表裏一体であり、明確に切り離されるものではなく全て繋がっています。
そういう意味では誰しもが「裏の世界」に関わっているともいえます。自覚しているか否かだけの話です。
この本を読むと、それがよくわかります。
また、そんな小難しい事を考えなくても単純に挿絵はかっこいいし、カルチャーの知識本として大いに楽しめる本です
黒社会(中華マフィア)、ストリート・ギャング、南米麻薬カルテル、アメリカのモーターサイクル・ギャング(ヘルズ・エンジェルス、ワンパーセンター)、ロシアン・マフィア、フレンチ・コネクションetc…
なんかこう、聴いてるだけで知的好奇心がとても刺激される様な人にはオススメの一冊です